雨のミュージアムで
静かに雄弁に
血の騒ぎを聴け
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宮本 輝 (著)
新潮文庫
平成16年6月 発行
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このエッセイが始めての宮本輝、体験だ
Wikipediaによると広告会社のコピーライターから作家へ転身したきっかけが
「書店で読んだ某有名作家の短編小説があまりに面白くなかったため、これで金がもらえるなら」
なんだそうだ
そんなことを公言しても、周囲を黙らせるだけの実績を築いてきたのだから凄い
挑発的というか、自分が評価しない人物、作品には容赦無い
尊敬していたり、一目置くものへは寛容で、常に礼を通す印象
井上靖さんとの思い出は、達人が静かに対峙しながら、内面で激しく切り結ぶような会話が描かれている
反面、海外から訪ねてきた青年へ気を遣って席を外しながら、冷たい印象を持たせたのではないか・・・とか、日常の会話の中で、あの時の言い方が悪かったか、と自省や不安、細やかな心根が素直に書かれていたり
これは、よくある当たり障りの無いことを言葉で飾って書かれたものでは無い、書くのに勇気の必要なエッセイだと思う
宮本輝さんは常に覚悟をもって執筆へ挑んでいるという事なのだろうか
それだけに読み手への「力」も強い
この記事へのコメント
細やかな感情が表現された作品だったような気がするのですが、エッセイだと別の面が強そうですね。
たしか、映画の「泥の川」を先に見て、それから小説を読んだような気がしますが、なにぶん大昔のことです・・・
カバーに刷られている作家の顔写真、怖いです、気難しそうな人物に見えます
折角、出会った作家さんなのでこれから何冊か読んでいきたいと思いますが、ネットで著作を探していて、タイトルからストロングスタイルな感じ・・
文章に深い印象はなかったのだけど この題名に惹かれて買った覚えがある。
すごく真面目そうな顔でしたよね。
でもエッセイはどんなだろう~
どの本もタイトルがカッコイイというか、純文学なんだな??・・と警戒したくなるような~
エッセイは頑固なオッサンの日常、と思えば軽い気持ちで読めそうですよ
実際、そんなエピソードもありましたし